我輩は無名である。名前はまだない

スクリーンを後にしながらこう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。兎角に人の世は生きにくい。生きにくさが高じると、映画でも観て、別の人の世を生きたくなる。どんな人生も生きにくいと悟った時、散文が生まれて、映画が出来る。

お嬢さん 監督:パク・チャヌク

注)この散文はネタバレを含んでおります。鑑賞前の方は斜め読みしていただくか、鑑賞後にお楽しみください。また、この散文は著者の妄想を多分に含んでおりますので悪しからず。

「お嬢さん」

監督:パク・チャヌク

製作年:2016

製作国:韓国

上映時間:145分

配給:ファントム・フィルム

 

秀子とスッキは果たして幸せになれるのだろうか?

世間知らずの女二人がロシアの極東で何をするのか。

彼女たちが世間よりも秀でているのは、

性と盗みと人を欺くことに関してである。

自分たちを追いかけてきそうな男どもは共倒れし、金もある。

つまり、彼女たちは思う存分、二人きりの行為に及ぶことができる。

ひっそりと、使用人を雇い、たった二人の世界を満喫することであろう。

そして恐らくは、再びお嬢さんの資産を目当てに伯爵が登場する。

その頃には、スッキとの仲もすっかり冷めきってしまい、互いが邪魔になる。

そうだ、次はこの殿方と添い遂げよう。

その場合、重要なのは秀子とスッキ、どちらが上手か?ということである。

そもそも、藤原伯爵をだまくらかすためには、

スッキの知恵と、仲間の協力が必要であったわけで、

そこはやはりというべきか、

スラム育ちの逞しさには敵わない。

ー簡単に裏切られる藤原伯爵の不憫この上ない。

いや、そもそも裏切っていたのは藤原だからこそ、

仲間の協力が得られたのであるー

所詮、お嬢さんは感情的になって首を吊るしかなかったわけである。

 

ただ、この二人を前にして、男がどちらを抱きたいと思うか?

間違いなく秀子であろう。

つまり、部が悪いのはスッキである。

何故ならば、もはや騙す必要はない。

邪魔ならば力ずくでやればいいのだ。

彼女一人いなくなったところで、誰も気にも留めない。

ー恐れく、仲間に金は振り込んだが、

自分の行き先は言わなかったであろうー

 

結局、自ら手を下さずとも、

美味しいところだけ頂ける お嬢様 が上手なのである。

そして、お嬢様も同様に、再び現れた伯爵に殺されて、

金だけ奪われる。いや、その頃には金さえ底を突いているかもしれない。

 

所詮、愛が続かなければ、誰も幸せになれないということか。

兎角に人の世は生きづらい。

 

にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村